根拠のあるものだけを、 実装している。
Ebbioの復習スケジュールは、記憶研究の知見の上に成り立っています。ここでは、実装に使っている数式と、その根拠になっている研究を明示します。
忘却曲線と記憶モデル(FSRS-4.5)
各項目は「安定度 S(思い出せる確率が90%を切るまでの日数)」と「難易度 D」を持ちます。想起確率は次のべき乗型の忘却曲線に従って下がります。
R(t) = (1 + 1981 · tS)−0.5
FSRSは数億件の実レビューデータにフィットした公開モデルで、エビングハウスの古典的な曲線より現代の学習者の実データに忠実です。復習に成功するたびに S が伸び、その伸び幅は「ぎりぎりで思い出したとき」に最大になります。
想起練習(Retrieval Practice)
「読み返す」より「思い出す」こと自体が記憶を強化する、という認知心理学の頑健な知見です。Ebbioではカード表示時に必ず頭の中で想起してから ○△× で自己評価する設計にしています。
間隔効果(Spacing Effect)
想起確率が目標保持率(既定90%、3段階または1%刻みでカスタム可、Collection/項目単位でも設定可)まで下がるタイミングで次回を予定します。成功のたびに間隔は1日→4日→2週間…と指数的に広がります。
望ましい困難(Desirable Difficulties)
思い出すのに苦労するほど記憶強化は大きくなります。ギリギリ思い出せる難易度が最高効率になるよう、FSRSの更新式に組み込まれています。×だった項目はセッション最後に再登場し、必ず「成功した想起」で1日を終えられるようにしています。
負荷平準化
復習が特定日に集中しても単純な先送りはせず、各項目の間隔の約15%(最大10日)の範囲内で自動分散します。間隔3日未満の脆い記憶は動かしません。安定度の高い(=影響が小さい)項目から動かし、曜日ごとの上限差を考慮した「使用率」で移動先を選びます。
予習モード(目標日からの逆算)
試験など「この日に完璧にしたい」目標日を設定すると、FSRSの忘却曲線を逆算し、目標保持率(既定95%)を満たす最終復習日を算出します。一夜漬けの弱さと、締切を知らない通常の分散学習の弱さの両方を回避します。
出典・参考文献
- エビングハウスの忘却曲線
- Hermann Ebbinghaus, Über das Gedächtnis: Untersuchungen zur experimentellen Psychologie(『記憶について』, 1885年)。忘却研究そのものの原点であり、Ebbioの名前の由来。
- FSRS(Free Spaced Repetition Scheduler)
- open-spaced-repetition プロジェクト(github.com/open-spaced-repetition)が公開しているオープンな間隔反復アルゴリズム。数億件の実レビューログにフィットしてパラメータを最適化している。Ebbioはこの公開されたアルゴリズム・数式をもとに実装を独自に書き起こしており、同プロジェクトのコードそのものは組み込んでいない。
- 想起練習(Retrieval Practice)
- Roediger & Karpicke, "Test-Enhanced Learning: Taking Memory Tests Improves Long-Term Retention" (Psychological Science, 2006)。読み返すより思い出す方が記憶定着に効くことを示した代表的研究。
- 間隔効果(Spacing Effect)
- Cepeda et al., "Distributed Practice in Verbal Recall Tasks: A Review and Quantitative Synthesis" (Psychological Bulletin, 2006)。間隔を空けた復習の効果に関する大規模なレビュー研究。
- 望ましい困難(Desirable Difficulties)
- Robert A. Bjork が提唱した認知心理学の概念。「思い出すのに適度な負荷がかかるほど記憶が強化される」という考え方で、FSRSの更新式にも組み込まれている。
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